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    Shanling

    まあまあ(10点)
    2025年2月17日
    ひっちぃ

    中国のオーディオ機器メーカーShanlingが出したポータブルヘッドホンアンプHシリーズのローエンドモデル。主に有線ヘッドホンをパワフルに鳴らすことができる。スマートフォンとはUSBだけでなくBluetoothでも接続して使えるほか、microSDカードを差して曲を入れることによりアプリを使用してスマホから曲を再生することもできるのが特徴。

    Shanlingの製品といえば以前自分は小型プレーヤーm0を購入し、めちゃめちゃ小さいサイズでそこそこいい音質な上にかなりの多機能ぶりに驚き、いずれなにかまた同社の製品を買ってみたいと思っていたところ、こいつがフジヤエービックのセールで二万三千数百円まで値下げされていたので衝動買いした。

    このシリーズは当初、最上位モデルH7に興味を持っていたのだけど、ネットでは同社の製品はハイエンドに行くほど微妙な評価だったので怖くて買えなかった。なんとなく自分の中ではShanlingはローエンドでコスパ最強なメーカーというイメージがあって、いきなり高価なモデルを買うのは気が引けた。そこでこの最下位モデルH2から試してみようとなった。

    箱をあけてみてその大きさにびっくりした。でかい。同社の製品は実際に持っているm0のほかUP4など非常に小さいイメージがあったので、もっと小さいと勝手に思っていた。まあどうせ胸ポケットに入れられるサイズではあるし、バッテリー容量も十分に確保されているので悪くはないと思う。

    Bluetoothレシーバーとして使うのは簡単で、右のボタンを長押しすると電源が入り、左のボタンを押すたびにモードが切り替わるので、Bluetoothモードにしたらあとはスマートフォンから接続する操作を行うだけ。スマートフォン上のプレイヤーアプリから曲を選択すると、こいつにつなげた有線ヘッドホンから音が出てくる。

    音はちょっと硬くて、特に高域にやや不自然な分厚さを感じた。最初に試したbeyerdynamic T5p 2ndでは少し繊細さが失われ、二度と使う気になれなかった。はるかに小さいqudelix-5kのほうが明らかにいい音を出していた。

    次に試したのは同じbeyerdynamicのAventho wiredだった。こっちは悪くなかった。高域のやや不自然な分厚さが、ヘッドホンの比較的苦手とする高域を力強く制動するのに良い方向に働いているように聴こえた。ただ、正直qudelix-5kのほうがどちらかというといい音な気がした。

    ここまでは普通のデジタルオーディオプレイヤーでも鳴らせるヘッドホンなので、ハイパワーなヘッドホンアンプは必要ないんだと思う。

    Ultrasone PRO 900はパワーが必要かつそこまで繊細ではないので気持ちよく鳴ってくれた。いまとなってはほとんど使っていないんだけど。

    平面磁界型で能率の悪いFostex T60RPはボリュームを80ぐらいにする必要があったけれどちゃんと鳴ってくれた。ゲインを切り替えることができて、ハイにしなくても音量は取れた。ダイナミックレンジの広いクラシックの特に交響曲なんかでも心配ないと思う。

    イヤホンはほとんど試していないのだけど、パワーの要るESTドライバーを搭載したTHIEAUDIO Monarch Mk2を鳴らしてみたところ、高域に雑さを感じていまいちだった。パワー不足によるものなのか元々の繊細さ不足なのかわからなかったけど、おそらく両方だと思う。Monarch Mk2はそこまで低インピーダンスではないはずなのだけど、ネットワーク全体のインピーダンスだけでは参考にならなさそう。

    音に関して言うと、しょせん定価三万のローエンドモデルなのでしょうがないのかなと思う。合わせるとしたら、ローエンドからミドルレンジぐらいの勢いのいいダイナミックヘッドホンと相性がいいのかなと思う。

    使い勝手で言うと、まずボタンが硬いのが気になった。それもそのはず、ボタンの下にあるダイヤルとなぜか連動している。本体上部のボタンを押すと、その下にある大きなダイヤルまで動く。意味がわからなかった。そのせいでボタンを押すのに多少の力が要った。

    次に、右のボタンは長押しで電源オンオフに加えて、再生ボタンも兼ねているのはいいとして、液晶モニタをオンにする役目も担っているのがややこしい。たとえばずっと音楽を聴いていて止めたくなったとき、右のボタンを押すとまず液晶モニタが点灯し、もう一度押すと再生が止まる。さらにもう一度押すと再生が始まる。液晶モニタをボタン操作でオフにすることはできない。ボタンの動作が液晶モニタの状態によって変わる。もっと割り切った操作にしてほしかった。

    本体に挿したmicroSDカードの音楽を聴くには、スマートフォンに同社のEddict Playerというアプリを入れて操作しなければならない。まず接続のやりかたでつまずいた。本体側は左のボタンを何回か押して専用のモードにしなければならない。スマホ側からはBluetoothで接続するのではなく、アプリから直接接続する。ちょっと考えればわかることだけど最初はなかなか思い至らなかった。

    理解した上で操作してもよくわからない理由により接続に失敗することがあった。何回か試してやっと成功する。なにが原因で失敗したのかわからなかったのでもやもやした。接続後に曲をスキャンするとアプリ上に曲が出てくる。

    Eddict Playerの使い勝手が悪い。スクロールバーを操作することもできないし、インデックスのところをタッチしてもそこに飛んでくれなかった。なんのためにインデックスの文字が表示されているのかよくわからなかった。しょうがないので、せいぜい二画面程度に収まるぐらいの曲しか入れずに運用するしかなかった。

    Shanlingはもっとソフトウェアが強いと思っていた。同社のm0は、LDACで受信した上でUSBトランスポートとして他の機器に出力することもできた。こういうファームウェアには強いのに、アプリやUIがダメだった。こんなんじゃフルサイズのデジタルオーディオプレイヤーなんて怖くて買えない。

    というわけで自分としては、qudelix-5kのバッテリー寿命を節約するために時々代わりにこいつを使うのがせいぜいかなと思った。qudelix-5kの予備を買った方がよかったかもしれない。再生時間の長さでは優位なんだけど。

    microSDに曲を入れて遠隔再生することで無線による音質の劣化を回避できるというアイデア自体はとても魅力的なので、ソフトウェアが改善されるのを期待したい。

    [参考]
    https://musinltd.com/SHANLING/
    697.html

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