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    THIEAUDIO

    まあまあ(10点)
    2024年1月28日
    ひっちぃ

    中国の深圳にあるオーディオショップLinsoulが始めたオーディオブランドTHIEAUDIOによる高級イヤホン。主に低域を担当する力強いダイナミック型のドライバーと、中高域を担当する精密なバランスドアーマチュア型ドライバーに加えて、超高域を担当する静電型ドライバーを組み合わせたフラットで精緻な音が特徴。

    ヘッドホンやイヤホンを手広く扱っている海外のIn-Ear Fidelityというサイトが、あくまでネット上の一つの意見として出しているランキングリストの中で、この製品が現時点で最高ランクS-の一つとして挙げられており、その中でも特に安かったので気になっていた。安いといっても日本に入って来た段階で十数万するので買う気はなかったのだけど、後継機が出たせいかヨドバシ・ドット・コムで急にセールが始まったので129,800円(ポイント10%還元)で買った。まあまあ良かった。

    静電型ドライバーというのが以前から気になっていて、自分はすでにSHUREのKSE1200という専用アンプとセットのフルレンジ(単一ユニットですべての音域をカバー)な静電型イヤホンは持っていたのだけど、それとは別に専用アンプを必要とせずパッシブ回路で昇圧しつつ他のドライバーと組み合わせて使用するものが出てきた。ただしやはり能率が悪いのと、そのせいか得意な帯域だけ任せて残りは他のドライバーに鳴らしてもらうハイブリッドな組み合わせで使われている。

    最初音を聴いたとき、あれ?全然大したことないなと思った。音がスカスカというか解像度も感じられずバランスの悪い音だと思った。通常ならこんなものなのかと思うところなのだけど、さすがに長年ポータブルオーディオに親しんでいると慣れたもので、まずはイヤーピースを変えることにした。最初は付属のスピンフィットもどきをつけたのだけど、手持ちのスパイラルドットに変えたらある程度まともになった。スピンフィットは装着感はいいんだけど、耳との距離が開くので音が瘦せてしまう。のちにスパイラルドットだとずり落ちてくるのでfinalのEタイプに変えた。ベント穴(空気が逃げるとこ)が開いているのでEタイプで密閉気味にしても問題なかった。

    次になんだか音がザラついていたように思えたのでいろいろ試してみたら、駆動力が足りないとこうなることが分かった。付属ケーブルがバランスにも対応しているので駆動力のありそうなAstell & KernのSE100で聴いていたのだけど、シングルエンドのchordのmojoで聴いてみたらザラザラした感じがだいぶ減った。バランスだからといって駆動力があるとは限らないという当たり前の事実があった。ちなみにcowonのPLENUE SでもpioneerのXDP-30Rでも当然ダメだった。

    ここまできてようやくいい感じに鳴ってくれるようになった。EDM(電子ダンス音楽)の高域が脳内を満たすかのように気持ちよく染みわたるようになり、ロックギターが生々しく感じられるようになった。一方で、中低域に関してはフラットなせいか特に面白味のない音だった。それに、あいかわらずダイナミック一発のヘッドホンと比べると音のまとまりに欠けるような感じがした。

    自分の手持ちのポータブル機器の中でいま一番いい音で鳴っているのはifi audioのmicro iDSD diabloでbeyerdynamic Aventhoを鳴らしているときだと思う。ポータブルヘッドホンを大出力アンプで鳴らしているせいか量感が気持ちよく、全帯域まとまりのある音が出ている。イヤホンと比べて解像度では劣るけれど、そんなのは大して気にならない。外での騒音にも強いし、音源もあまり選ばない。携帯性が悪いのが難点だけど。

    mojoもshanling m0を使えば携帯できるんだけど、ここでも問題があった。まずmojoはなぜかUSB接続がいまいちだということと、bluetoothでLDACを使うにせよ圧縮コーデックなせいなのか超高域の気持ちよさが減った気がした。仕方ないのでshanling m0をbluetoothレシーバーにするのをやめて直で再生してみたら多少改善されたけれど、操作性に難があって常用は難しかった。そうまでしてもそもそもこのMonarch MKIIは外での騒音にも弱かった。というわけでいまのところ外に持ち出さず室内での使用がメインになっている。室内環境にはライバルが多いので、いまは目新しさもあってよく使っているのだけど、しばらくするとそれほど使わなくなるかもしれない。

    去年の年末にフジヤエービックのセールで安くなっていたHiby R6 PROを買っておけばよかったと少し後悔した。ただ、買っていたところで駆動できていたかどうかはわからないし、外の騒音との相性が悪いのはどうにもならない。

    これまで愛用していたcampfire audioのVEGAと比べると高域の解像度の高さが明らかに感じられる。VEGAはほんとケーブルも合わせたチューニングでうまいこと自然に量感を出している感じがした。同ATLASのようなずっと聴いていると高域の不自然な歪みを感じることもなかった。同社はのちにSolarisやpathfinderといったハイブリッド機を出していてそっちがこのMonarch MKIIと方向性が近いと思うんだけど、聴いたことがないのでわからない。ちなみにpathfinderのほうもヨドバシ・ドット・コムでのちに129,800円になったのだけど、すでにMonarch MKIIを買ったあとだったのでスルーせざるをえなかった。

    ヘッドホンやイヤホンは高価格化が進み、以前は十万ちょっとで買えた最高級モデルが最低でも二十万以上するようになってしまったこともあり、もう自分はついていけないので今後はミドルレンジにまで技術が降りてきたときに買うことにしようと思っていた。今回はたまたまハイエンドにしてはまだ廉価な上にセールがあり、新しい技術である特別なアンプが不要な静電型ドライバーの音を聴きたいというのもあって買ってみたのだけど、これからは買う頻度が下がると思う。次は買うとしても、いまで言うとsennheiser IE600あたりのミドルレンジの傑作機になるかな。

    [参考]
    https://www.thieaudio.com/
    products/
    thieaudio-monarch-mkii

    (最終更新日: 2024年1月31日 by ひっちぃ)

    コメント

    スピンフィットに戻した ひっちぃ
    イヤーピースをfinalのタイプEにしたと言ったけど、ステムが短くてすぐに抜けるようになったのでスピンフィットに戻した。耳との距離が少し離れたけど、あんまり気にならなくなった。やはりmojoにしたのがポイントだったのと、エージングのおかげかもしれない。
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    低音量がいい ひっちぃ
    いろいろと試行錯誤を進めているうちに、このイヤホンはあまり音量を上げずに低音量で聴くのがよいと思った。というか、音量を上げすぎると音のバランスが崩れるように思う。静電ドライバーの特性なのか、それともマルチドライバーによるネットワークがいまいちだからだろうか。ともかく、外出時にあまりいい音で鳴ってくれないのもそのせいかもしれない。
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    manuke.com