SDガンダム GGENERATION NEO
発売元:バンダイ 開発元:トムクリエイト
まあまあ(10点) 2010年10月30日 ひっちぃ
戦争物ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに出てくるロボットのデザインをデフォルメしてシミュレーションゲームとして仕立て上げられた人気ゲームシリーズに、原作をもとにしたシナリオによる連続ステージ攻略を主要素として持ち込み、そこにさらに自分だけのロボット艦隊を育成して編成して参戦させて戦っていく、半ばシミュレーションRPG化した新シリーズのバージョンアップ版。プレイステーション2ソフト。
前作はプレイステーション用のソフトだったが、この作品からプレイステーション2のソフトになった。一番大きな違いは、前作がオリジナル作品に忠実だったのに対して、今回はオリジナル作品をもとにした独自のシナリオになっている。色んな作品のキャラクターやロボットが混在してストーリーが語られていく。なんだかスーパーロボット大戦のガンダム縛りみたいな感じ。何作かプレイしてると、あーここでG3ガスか、みたいに思えてちょっとうんざりするけれど、毎度同じ原作のステージをやるよりは変化があるし、シナリオの出来はまずまずだと思う。
ビジュアル的にはクオータービューつまり斜め見下ろしになったほか、ユーザインタフェースも使いやすくて見やすくなったものの、まだプレイステーションの頃の枷を引きずっている感じ。ハードの移行期にありがちな過渡期のクオリティか。武装選択のときに、重い武器は幅が広く表示されるところなんかは面白いなあと思った。
最初、今回は毎ターンセーブできないのか、と思って結構緊張感を持ってプレイしていたのだけど、それは私の勘違いだった。リセットが使えるから難易度はそんなに高くない。
ステージは全部で24個ある。ただし、途中で条件分岐してまったく違うステージになったり、同じマップだけど敵や味方や状況が異なる別のステージになったりする。大きく2つのルートがあり、たぶん二回やらないとすべてのステージを見ることが出来ない。条件分岐の条件は、単純にステージ開始前に行き先を選択するものから、ある敵を何ターン以内に倒すとかいうものまである。
ロボットの経験値を上げてレベル1⇒2⇒3⇒ACEにすると開発や改造や設計ができる。今回はACEにしてさらに登録しないと設計できないようになっている上に、一度設計すると登録してあったロボットのマークが消えてしまう。一つのACEユニットで複数個登録できるのだけど、登録できる枠が限られているのでそう何個も登録していられない。そして当たり前だけどいったん開発すると別のロボットのレベル1になるのでまた育てないと登録も設計も出来ない。このシステムには多少ストレスを覚えた。
戦闘のたびにいちいち映像を見ていると時間が掛かってしょうがないのでスキップしてしまう。そうすると画面上のロボットのマークを移動させて武装選んでダメージの数字が小さくポコッと表示されるだけで淡々と進んでいくので作業感が強くなってくる。演出に凝った戦闘アニメは素晴らしいのだけど、もっとテンポの良い戦闘表示も用意してくれたら良かったのに。
本シリーズの醍醐味である敵ロボットの捕獲のための条件が、今回は実質的に敵のHPを500以下に減らすという結構厳しい条件になっているため、私はゲーム序盤ではほとんど捕獲できずに自分の艦隊の強化が遅れた。次の作品から元通り母艦を撃沈すれば捕獲可能な状態になるため、今回のシステムはおそらく不評だったのだろう。
一方で今回のシステムが優れている点として、パイロットの能力の比重が高いことを挙げたい。敵を攻撃するために使うロボットの武装にはそれぞれコストがあって、バルカンのような軽い武装は1、ビームライフルやビームサーベルみたいな普通の武装は2、バズーカやさらに強力な武装にはそれ以上のコストが掛かるようになっている。そしてそれぞれの武装にはレンジによって近接と中距離と遠距離の三種類に分けられている。パイロットもまたレンジによって得手不得手があって、一回に攻撃できるポイントがそれぞれ決まっている。パイロットが持っているポイントから武装のコストを消費してその武装で攻撃できる。ポイントがある限り複数の武装を使うことが出来る。たとえば近接のポイントが4あるパイロットで敵に対して近接攻撃する場合、コスト2のビームサーベルで一回、コスト1のバルカンで二回攻撃することが出来る。それぞれの武装には攻撃力や消費エネルギーや命中率が決まっているので、効率を考えて武装を選ぶことになる。
一定以上の能力を持ったパイロットは、二つの目標を同時に攻撃することが出来るようになる。ただしそのときは同時に反撃も受けるので、同時攻撃してもしなくてもいいようになっている。例によってニュータイプをあらわす覚醒値が一定以上ないと使えない武装があり、事実上のニュータイプ専用機となっているロボットがある。ロボットよりもパイロットのほうが下手すると重要な気がする。
ロボット単体だけでなく、部隊ごとに決まる機動値というものがあって、これが高い順に敵味方関係なく順番に行動でき、さらにこれが一定の数字より高くなると1ターンに二回行動できるようになる。
というちょっと冒険的な新機軸のシステムと、一部のかなり強い敵ユニット、条件が合えば味方の一機を集中攻撃して容赦なくボコってくる敵AIとで、割とスリリングなゲームバランスで歯ごたえのあるプレイが楽しめた。ちょっとインフレ気味なところがあるけれど。
一方で、ステージ間の戦力整備の部分が結構不自由でストレスを感じることが多かった。まず、今回は条件を満たさないと設計自体が行えない。さらに、設計を行うための専用の場所があって、そこへ行くタイミングが限られてくる。特定のステージをクリアしたあとに可能ならそこへ寄り道できるといった感じで、設計を終えていったんそこを出ないと自軍艦隊の設定が出来ないし、いったん出てしまうともう戻れないので次のステージをクリアしたあとに寄り道できた場合のみ行ける。
ロボットをACEまで育てると生産登録することができ、いつでも生産できるようになるのだけど、登録できる数が技術レベルによって決められていてすぐにその枠に達してしまう。そうなるとどれか登録を廃止しなければならない。この仕組みがゲームの面白みを増しているとは到底思えない。
まあでもまさかソフマップの中古で500円で買ったこのゲームがここまで遊べるとは思わなかった。あえていまこの作品を遊ぶ意味はあまりないと思うけれど、やればやったでそれなりには楽しめると思う。
|