SDガンダム GGENERATION-F
販売:バンダイ 開発:トムズクリエイト
傑作(30点) 2010年10月3日 ひっちぃ
戦争物ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに出てくるロボットのデザインをデフォルメしてシミュレーションゲームとして仕立て上げられた人気ゲームシリーズに、原作をもとにしたシナリオによる連続ステージ攻略を主要素として持ち込み、そこにさらに自分だけのロボット艦隊を育成して編成して参戦させて戦っていく、半ばシミュレーションRPG化した新シリーズのソフトのマイナーバージョンアップ版。プレイステーションソフト。
このGGENERATIONシリーズは、この作品の前に無印とZEROが、この作品のあとにF.I.F.という作品があるみたいだけど、自分はプレイしたことがないことを断っておく。基本的なゲームシステムは同じみたいなので、細かい点を除いて大した変化はないみたいだ。
いままでのシリーズはシミュレーションゲームの色が濃くて、ステージが始まっても特に何の説明もなく戦いが始まっていたが、このシリーズから原作のストーリーを演出するようになった。一部ボイスまで再生されて、登場人物たちが原作と同じ台詞まわしでストーリーを進め、それが終わるとステージが始まる。ステージ中も原作と同じような特定の状況になると登場人物が原作にあわせて台詞をしゃべる。ストーリーに合わせて増援が来たり状況が変わったりターン制限があったりする。同じバンダイから出ているスーパーロボット大戦に似た感じになった。
最初にプレイしたときはびっくりした。シミュレーションゲームのつもりで買って遊んでみたら、ステージが始まる前に思いっきりストーリーが語られる。しかも結構長い。いつ始まるのかと思った。正直嫌な予感がした。このままただ原作の戦いをなぞるだけだったら…。
でもその予感は当たらなかった。最初のデモステージが終わると、プレイヤー独自の艦隊を編成する画面になった。プレイしたのがだいぶ前なので、思い出すためにさっきもう一回電源入れて少しだけ遊んでみた。初代プレイステーションなのでグラフィックスはいまいちだけど、情報量が多くてゲームシステムがしっかりしている感じがする。
このプレイヤー独自の艦隊を育成するというのがこのシリーズの一番の魅力だと思う。ステージ自体は原作ほぼそのままなのだけど、原作をもとにした味方部隊だけでは敵にかなわないようになっている。だからプレイヤー独自の艦隊を乱入させて味方を勝利に導いていく。プレイヤー独自の艦隊はプレイヤーが自由に編成できるから、原作にそぐわないロボットやキャラクターも好きなように編入できる。とはいっても最初は貧乏で技術力もないので貧弱だ。ステージで敵を倒すことでロボットやキャラクターに経験値を積ませてレベルアップさせていったり、ステージクリアの報酬や敵ロボットの捕獲と売却により資金を得て、新しいロボットを購入したり技術革新をしたりしていく。
ロボットには開発ツリーというものがあって、原作に忠実なように新しいロボットを開発していけるようになっている。ザクIを育ててザクIIにしたり、さらにグフにしたり出来る。一直線の進化ではなくてツリーになっているので、どちらに進化させるのか選ぶことが出来る。途中で流れが途切れることもある。シリーズ中の複数の原作間に関連を持たせているのも面白い。最初の「機動戦士ガンダム」に出てきたロボットを開発していくと、次のZガンダムに出てくるロボットになったりする。
アニメとして放映されてメジャーとなっている作品のほかに、ビデオ作品として一部ファンにしか知られていない作品や、小説やマンガだけで展開された作品なんかがあり、メジャーな作品と作品の隙間を埋めるような感じになっているので、マイナーな作品に興味を持てるようになっている。ステージは原作ごとに分けられていて、原作ごとにどこから遊ぶかプレイヤーが好きに選べるので、どうしても気が乗らないようなマイナーな作品は遊ばなくてもいいようにもなっている。
開発のほかに設計といって二つのロボットの組み合わによって新たなロボットが作れるようになったりする。ガンキャノンとザクで設計するとザクキャノンになったかどうか忘れたけれど、それっぽい組み合わせで色々と出来るようになっている。思わぬ組み合わせで強力なロボットが出来たりする。
新たにキャラクターというものができて、ロボットとは別に能力を持ち、成長するようになった。パイロットのほかに戦艦の艦長やブリッジクルーまでいる。成長によって階級表示が上がっていく。原作どおりのキャラクターのほかに、オリジナルキャラクターや無名のキャラがいる。好きなロボットに好きなキャラクターを乗せることが出来る。
最初はプレイヤー艦隊がカツカツなので戦闘にあまり余裕がないのだけど、うまく戦力を強化できると途中から楽勝になっていく。敵の戦艦を撃沈すると、その戦艦に所属するロボットが白旗を上げるので捕獲できる。敵のロボットをそのまま使うとプレイヤー艦隊はカオスになっていく。処分して新しいロボットを買うことも出来る。ガンダムを十体買ったりすることも出来る。この自由度の高さが楽しい。
ゲームが後半に差し掛かると、というかその前からなのだけど、プロフィールを埋めると言って全ロボットを少なくとも一体は開発なり設計なりして登場させることで図鑑を100%にすることを目指すようになる。そうなると、強いユニットを揃えるだけではなくて、弱いユニットを育てて開発する必要があるので、プロフィールにこだわる人は常にこのようなハンデがついた状態で戦うことになり、やりがいを保てるようになっている。もちろんこういう補助要素にこだわらなければ、どんどん強いロボットを作って楽勝でクリアしまくって楽しむこともできる。
すべてのステージをクリアすると、ターンAガンダムという特別な位置づけの原作に出てくるロボットと最終対決をするステージが出てくる。このステージをクリアするとゲームクリアでエンディングになる。かなり強い。どうしても勝てない場合は、一度クリアしたステージを繰り返しプレイしてプレイヤー艦隊を育てることも出来る。
このゲームシリーズがいままで続いているということは成功しているということなのだろう。なぜ成功しているのかというのは多くの人の意見を聞いてみないと分からないけれど、少なくとも私自身はといえば、艦隊を運営するのが楽しいのだと思う。強いヒーローだけじゃなく、弱い雑魚でもちゃんと活躍の場がある。開発していけば強くできる。マニアックなユニットなんかの存在も楽しい。誰が知ってるんだよこんな機体、みたいなのが結構ある。うまくやれば一気に敵のロボットを捕獲して豊かな資金を手に入れることが出来たりもする。こうして強化した艦隊で余裕を持って次のステージを攻略していくのも楽しい。
演出が強化されたことで、原作の流れを簡単に追うことが出来るのも良かった。自分の知っている話は懐かしいし、知らない話は新鮮で楽しめる。あんまり面白くなさそうなものもあるのだけど、あくまで演出の範囲内なのでクドクドしていなくていい。
アニメに小説にマンガにゲームにと、いろんなメディアに展開されているガンダムシリーズを、この作品が整理してまとめあげていると思う。この作品を起点にして色んな作品に手を出せるようになっている。ロボットやキャラクターの図鑑もあるし。ただ、あくまでこの作品はシミュレーションゲームなので、ちまちまとした面倒くさい作業が嫌いな人にとってはまったく受け付けないと思う。一方で、いまさらアニメやマンガなんか見ないよという昔のガンダムファンなら、このゲームをやることで懐かしむことが出来る。
ところで、自分はSDつまりスーパーデフォルメされて頭身が縮まったロボットがかわいく見えるのだけど、一般的なガンダムファンにとってこのロボットの造形はどういう風に受け止められているのだろうか。こういう半ばパロディ化してるほうが、あくまで昔を懐かしんでいるんですよというポーズになっていて受け入れられているのだろうか。
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